2008年 08月 07日
小倉記念 回顧 |
「サマー2000シリーズ」第3戦小倉記念は、出走馬中唯一のG1馬ドリームジャーニーがハンデにも恵まれ、貫録の違いを見せつける完勝。
いつも通り後方待機策からの競馬。3コーナーでダイシングロウをマークするようにスパートすると、外から一気の捲り。直線半ばでダイシングロウを交わし、ステッキを使わず3馬身差の楽勝。レコードに0.1秒差と迫る1分57秒9の好時計だった。
コーナーで一気に上がっていく脚は、小回り適性の表れ。
スパートしてからあまりの勢いの良さに、池添も「4コーナーでは逆にちょっと待つくらいだった」と言うほど。「一瞬の切れ味」だけでなく「長く良い脚」を使うことができた。小回りコースで、持ち味であるピッチ走法が大きな威力を発揮した。
「コーナーが4つあるコースは合うはず」とここに参戦した陣営の読みがズバリ的中した。
春はマイル戦を2度使ったが、まったく結果が出ず。
長距離戦では不利なピッチ走法ながら菊花賞で5着に食い込んだスタミナを活かすには、マイルより二千くらいの距離が合っているのだろう。
当然、秋には再びGI路線に挑戦するのだろうが、決してレベルが高いとは言えない現4歳牡馬勢の中にあって、クラシック最高5着のこの馬にとって今後のポイントはどれだけ成長できるか。血統背景からは、成長力は十分。今回の見事な走りでその一端を見せてくれた。
元々、この馬は輸送に弱く、輸送で20キロ近く体が減ることもあった。
しかしながら、今回は、池江寿師が「賭けだった」という初めての2日前輸送にも関わらず、輸送による馬体減は10キロに留まり、小倉到着後の3日間で8キロも盛り返した。猛暑の中の輸送で馬体が減るのは仕方ないにせよ、短期間で8キロも馬体を戻したあたりにもこの馬の今の充実ぶりと、本格化の兆しを伺える。
それと同時に輸送競馬のある秋のG1戦線に向けて大きな収穫となった。
<ドリームジャーニー馬体重の変動 (追い切り後~レース当日)>
424(木曜栗東)→414(金曜小倉)→418(土曜)→422(日曜)
この馬の実力と成長は当然認めるところだが、今回はハンデと相手関係に恵まれたことも否めない。GIとG2での勝利がありながら57キロ。重賞初挑戦のダイシングロウと1キロしか差がないことからもいかにこの馬がハンデに恵まれたかが分かる。このレースを回顧する上でこのことに触れない訳にはいかない。
以前にも書いたが、実績馬の恵ハンデにはハンデキャッパーの打点的思惑が絡んでいることが見え隠れしている。つまり、主催者JRAが夏競馬を盛り上げるために、実績のある有力馬が出走しやすくしたということだ。
だが、それは魅力的なレースをファンに提供するという本質からは外れている。
ハンデ戦の存在意義は、ハンデによって各馬の力関係を拮抗させ、予想する上でも観戦する上でもよりおもしろいレースを提供すること。
JRAはその本質を見誤ってはいけない。
レース後、短期放牧に出たドリームジャーニー。
今後の予定は未定とのことだが、「今日の勝利でキッカケはつかめたと思う」と池江寿師。
約10カ月ぶりの勝利を弾みに、ドリームジャーニーの「夢の旅」はここから再出発だ。
重賞初挑戦ながら2連勝の勢いが評価されて1番人気に推されたダイシングロウは2着。
調教後から18キロの体重減での出走だったが、決して細くはなかった。
ドリームジャーニーには、完全に格の違いを見せつけられてしまったが、1キロのハンデ差を考えれば、よくやったと言える。
押し出されるように1番人気に推されたとは言え、重賞初挑戦ということを考えれば、立場はあくまでチャンレンジャー。川田将雅騎手もチャンレジャーらしく思い切りの良い騎乗で、この馬の力を出し切った。早めに仕掛け、ドリームジャーニーに目標にされる形になったが、切れる脚が使えるタイプの馬ではないだけに、川田の判断は間違ってはいなかった。
ダンスインザダーク産駒のこの馬は、デビューが遅れて、まだ13戦しかしていない。まだまだこれから強くなっていくはず。楽しみな馬が出てきた。
3着には、ハンデ戦らしく人気薄の軽ハンデ馬ケンブリッジレーザが突っ込んできた。
準オープンに昇級後は結果が出ていなかったが、軽ハンデに加え、展開が嵌った。
先行から後方待機まで変幻自在の脚質と、マイルからクラシックディスタンスまでこなす距離の融通性など、掴み所の難しい馬であるが、今後も人気薄で狙ってみたい。
陣営の狙い通り8キロ増と馬体を回復させて挑んだヴィータローザが4着。
相変わらずの決め手不足ながら年齢を考えればよくやっている。
次走は例年通り、新潟記念か。新潟は重賞で3着3回と相性の良い舞台。
出走してくれば、注目の1頭。
逃げたミヤビランベリが5着に踏ん張った。
オペラハウス産駒。今回のようなパンパンの高速馬場は合わない。
前走より時計を1秒近く詰めており、力は出し切った。
荒れ馬場で狙いたい馬。福島記念あたりでおもしろそう。
それまではおとなしくしてればいい。
さて、長期休養明け2戦目のサンレイジャスパー。
前走に続き今回も最後まで息が持たず失速し9着。
最後の失速は明らかにスタミナ切れ。
この原因は馬体が重いことと、心肺機能が復調していないことが考えられる。
それでも無残な結果に終わった前走よりは少しずつマシになってきている。
前走の回顧でも書いていたが、この馬は使い込まれて馬体が研ぎ澄まされたように絞れた状態になってこそ、力を十分に発揮できるタイプなのだろう。
「無理なくいい位置が取れたんですが…。まだ良化途上なのかもしれません」とは佐藤哲騎手。
高橋成師も「マーメイドSよりも最後までくたびれなかったが、もっと目方が減らないと」と馬体重が思った以上に減らなかったことを敗因に挙げている。
輸送による馬体減は10キロと想定通りだったが、追い切り後の馬体重が2キロしか減っていなかったことが計算外だったのだろう。
今回の馬体重は478キロ。
絶好調だった昨年のこのレース時と比較しても6キロ重い。
成長分があったとしてもやはり“まだ重い”のだろう。
次走は新潟記念を予定。
今回の内容を見ると、次走で昨年並みの状態まで持っていくのは難しいとは思う。だが、距離、平坦で長い直線等この馬にとって最高の舞台だけに復調途上でも馬券絡みまで期待できるだろう。
ここ2戦は馬券的には完全に無視していたが、次走では人気も落ちて妙味も出るだろうし、狙ってみたいと思っている。
いつも通り後方待機策からの競馬。3コーナーでダイシングロウをマークするようにスパートすると、外から一気の捲り。直線半ばでダイシングロウを交わし、ステッキを使わず3馬身差の楽勝。レコードに0.1秒差と迫る1分57秒9の好時計だった。
コーナーで一気に上がっていく脚は、小回り適性の表れ。
スパートしてからあまりの勢いの良さに、池添も「4コーナーでは逆にちょっと待つくらいだった」と言うほど。「一瞬の切れ味」だけでなく「長く良い脚」を使うことができた。小回りコースで、持ち味であるピッチ走法が大きな威力を発揮した。
「コーナーが4つあるコースは合うはず」とここに参戦した陣営の読みがズバリ的中した。
春はマイル戦を2度使ったが、まったく結果が出ず。
長距離戦では不利なピッチ走法ながら菊花賞で5着に食い込んだスタミナを活かすには、マイルより二千くらいの距離が合っているのだろう。
当然、秋には再びGI路線に挑戦するのだろうが、決してレベルが高いとは言えない現4歳牡馬勢の中にあって、クラシック最高5着のこの馬にとって今後のポイントはどれだけ成長できるか。血統背景からは、成長力は十分。今回の見事な走りでその一端を見せてくれた。
元々、この馬は輸送に弱く、輸送で20キロ近く体が減ることもあった。
しかしながら、今回は、池江寿師が「賭けだった」という初めての2日前輸送にも関わらず、輸送による馬体減は10キロに留まり、小倉到着後の3日間で8キロも盛り返した。猛暑の中の輸送で馬体が減るのは仕方ないにせよ、短期間で8キロも馬体を戻したあたりにもこの馬の今の充実ぶりと、本格化の兆しを伺える。
それと同時に輸送競馬のある秋のG1戦線に向けて大きな収穫となった。
<ドリームジャーニー馬体重の変動 (追い切り後~レース当日)>
424(木曜栗東)→414(金曜小倉)→418(土曜)→422(日曜)
この馬の実力と成長は当然認めるところだが、今回はハンデと相手関係に恵まれたことも否めない。GIとG2での勝利がありながら57キロ。重賞初挑戦のダイシングロウと1キロしか差がないことからもいかにこの馬がハンデに恵まれたかが分かる。このレースを回顧する上でこのことに触れない訳にはいかない。
以前にも書いたが、実績馬の恵ハンデにはハンデキャッパーの打点的思惑が絡んでいることが見え隠れしている。つまり、主催者JRAが夏競馬を盛り上げるために、実績のある有力馬が出走しやすくしたということだ。
だが、それは魅力的なレースをファンに提供するという本質からは外れている。
ハンデ戦の存在意義は、ハンデによって各馬の力関係を拮抗させ、予想する上でも観戦する上でもよりおもしろいレースを提供すること。
JRAはその本質を見誤ってはいけない。
レース後、短期放牧に出たドリームジャーニー。
今後の予定は未定とのことだが、「今日の勝利でキッカケはつかめたと思う」と池江寿師。
約10カ月ぶりの勝利を弾みに、ドリームジャーニーの「夢の旅」はここから再出発だ。
重賞初挑戦ながら2連勝の勢いが評価されて1番人気に推されたダイシングロウは2着。
調教後から18キロの体重減での出走だったが、決して細くはなかった。
ドリームジャーニーには、完全に格の違いを見せつけられてしまったが、1キロのハンデ差を考えれば、よくやったと言える。
押し出されるように1番人気に推されたとは言え、重賞初挑戦ということを考えれば、立場はあくまでチャンレンジャー。川田将雅騎手もチャンレジャーらしく思い切りの良い騎乗で、この馬の力を出し切った。早めに仕掛け、ドリームジャーニーに目標にされる形になったが、切れる脚が使えるタイプの馬ではないだけに、川田の判断は間違ってはいなかった。
ダンスインザダーク産駒のこの馬は、デビューが遅れて、まだ13戦しかしていない。まだまだこれから強くなっていくはず。楽しみな馬が出てきた。
3着には、ハンデ戦らしく人気薄の軽ハンデ馬ケンブリッジレーザが突っ込んできた。
準オープンに昇級後は結果が出ていなかったが、軽ハンデに加え、展開が嵌った。
先行から後方待機まで変幻自在の脚質と、マイルからクラシックディスタンスまでこなす距離の融通性など、掴み所の難しい馬であるが、今後も人気薄で狙ってみたい。
陣営の狙い通り8キロ増と馬体を回復させて挑んだヴィータローザが4着。
相変わらずの決め手不足ながら年齢を考えればよくやっている。
次走は例年通り、新潟記念か。新潟は重賞で3着3回と相性の良い舞台。
出走してくれば、注目の1頭。
逃げたミヤビランベリが5着に踏ん張った。
オペラハウス産駒。今回のようなパンパンの高速馬場は合わない。
前走より時計を1秒近く詰めており、力は出し切った。
荒れ馬場で狙いたい馬。福島記念あたりでおもしろそう。
それまではおとなしくしてればいい。
さて、長期休養明け2戦目のサンレイジャスパー。
前走に続き今回も最後まで息が持たず失速し9着。
最後の失速は明らかにスタミナ切れ。
この原因は馬体が重いことと、心肺機能が復調していないことが考えられる。
それでも無残な結果に終わった前走よりは少しずつマシになってきている。
前走の回顧でも書いていたが、この馬は使い込まれて馬体が研ぎ澄まされたように絞れた状態になってこそ、力を十分に発揮できるタイプなのだろう。
「無理なくいい位置が取れたんですが…。まだ良化途上なのかもしれません」とは佐藤哲騎手。
高橋成師も「マーメイドSよりも最後までくたびれなかったが、もっと目方が減らないと」と馬体重が思った以上に減らなかったことを敗因に挙げている。
輸送による馬体減は10キロと想定通りだったが、追い切り後の馬体重が2キロしか減っていなかったことが計算外だったのだろう。
今回の馬体重は478キロ。
絶好調だった昨年のこのレース時と比較しても6キロ重い。
成長分があったとしてもやはり“まだ重い”のだろう。
次走は新潟記念を予定。
今回の内容を見ると、次走で昨年並みの状態まで持っていくのは難しいとは思う。だが、距離、平坦で長い直線等この馬にとって最高の舞台だけに復調途上でも馬券絡みまで期待できるだろう。
ここ2戦は馬券的には完全に無視していたが、次走では人気も落ちて妙味も出るだろうし、狙ってみたいと思っている。
by masa_ishizawa
| 2008-08-07 23:13
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