2006年 11月 20日
マイルCS 回顧 |
今年のマイルCS、前日からの降雨により馬場がどの程度まで悪化するのかが不安視され、また馬券の予想でもそれが大きなポイントとなると思われたが、予報されたより降雨量は少なく、結局良馬場で行われた。
それでも、馬場は湿り、芝表面に水滴がつき上滑りしやすくなっていて、それが災いした馬もいたようだ。
だが、そんな条件などまったく関係ない程にダイワメジャーは強かった。
ゴール前でダンスインザムードに並びかけられても、またグイッとひと伸びたあたり、着差以上の強さだった。
「本当に強い競馬でしたね。動くのが早いと分かっていたけど、外から来たら反応して伸びてくれたし、大丈夫だと思いました」
「他馬は関係なく自分のペースで行こうと思っていた。道中の手応えが抜群で自信があった。ダンスインザムードが迫ったら、もうひと伸びしたからね。最後まで負ける気はしなかった」
このアンカツの言葉がその強さを如実に表しているだろう。
長くいい脚を使ったメジャーも凄いが、馬を信頼して早めにスパートさせたアンカツの度胸も素晴らしい。
「レース中は負けることは考えない。自分の競馬をして負けたら仕方ないんだ。他馬の出方を待って負けた時の方が悔しい」
1番人気に乗りながら、これだけ開き直れるのがアンカツの凄さである。
これが事あるごとに私が言ってきた“思い切りの良い騎乗”というものである。
当然のように、それは無闇に思い切り乗れば良いと言う訳でなく、その裏付けとなる確固たる自信と根拠がなければならないのだ。
それを明確に具現化したのが、今回のアンカツの騎乗である。
馬の力と特徴を把握することで生まれた自信に基づく早仕掛け。
とかく、経験の少ない騎手、下手な騎手、精神面が弱い騎手が1番人気の馬に騎乗すると、無難にミスなく、ソツなく乗ろうとする。
だが、それが消極性にとなり、結果的にその馬の力を十分に発揮できないということに繋がるのだ。
ダイワメジャー程の強さがある馬でも、無難に乗ってごく普通の当たり前と言われるようなタイミングで仕掛けていたら、切れ味で勝るダンスインザムードの末脚の前に屈していたかもしれない。
トップジョッキーほどこの“思い切りの良い騎乗”が出来る。
経験に基づく自信があるからこそ、それが出来るのであろう。
逆にソツなく乗ることしかできない騎手は、トップジョッキーになり得ない。
また“思い切りの良い騎乗”は、“慌てた騎乗”あるいは“無謀な騎乗”とは違う。
その事は先日のエリザベス女王杯での本田の騎乗がその例だ。
あれは、“思い切りの良い騎乗”とは程遠いもので、慌ててその結果無謀な騎乗に繋がってしまった典型的な例だ。
その原因は、本田があの時点でパートナーの力と特徴を十分に把握出来ていなかったために、パートナーの力を信頼できなかったことが挙げられる。
本田は、あの慌てふためいたようにムチを連打し、内に切れ込んだ騎乗をした要因として、
「いつもより手応えがよくなかった。前の馬が内にヨレそうだったので、早めに内に入れたかった」
とコメントしたが、あのカワカミプリンセスの別次元の強さを見れば、その判断が間違っていたのは明白である。
カワカミプリンセスの力と特徴をきとんと把握できていれば、もっと余裕を持った騎乗ができたはずだ。
つまり、本田はカワカミプリンセスのその特徴と強さを把握できていなかったのだ。
カワカミプリンセスがペースの上がる4コーナーでもたつくのは秋華賞でも見受けられたこと。
また、本田はこの秋取材を受ける度に、カワカミプリンセスのことを聞かれると、
「自分の思っている以上の強さを秘めている。毎回毎回それに驚かされる」と語っていた。
カワカミプリンセスがそれだけ凄い馬と言ってしまえば、それまでだが、ジョッキーの優劣は、レースでの騎乗だけでなく、その馬の力、特徴をいかに瞬時に把握できるかという部分にも現れる。
一流ジョッキーほど、初めて跨った馬でも、すぐにそれが分かるらしい。
騎乗技術だけでなく、そういった部分の優劣でもアンカツと本田の今の立場の違いとして出ているのだろう。
またしてもダイワメジャーの前に力及ばなかったダンスインザムードだが、ユタカはほぼ最高の騎乗をしたと言えるだろう。
欲を言えば、直線でダイワメジャーに馬体を併せるのではなく、なるべく離していたら、あるいは結果は違っていたかもしれないということだけだ。
ゴール前、並びかけたところで、ダンスインザムードの脚が止まったように見えたが、あれはそうではなく、ダンスインザムードが並びかけたので、ダイワメジャーの闘志に火がつき、また伸びたのだ。
ダイワメジャーは、力は断然に上だが、そのようなソラを使ってしまうところがあり、また瞬発力に欠けるという特徴があるだけに、ダイワメジャーに出し抜けを食らわすような進路をとるべきだっただろう。
シンボリグランはこれまで、気性面の難しさから短距離を使われ、またそのレースでも出遅れなどがあり、なかなかその力を発揮できずにいたが、精神面の成長によって、距離ももつようになったし、その力も十分に発揮できるようになった。
今後はマイル戦でも十分に通用するだろう。
逆に連覇を狙ったものの8着に敗れたハットトリックは、精神面が原因で不調に陥っているようだ。
スタート前にゲートを潜ろうとしたことからも、精神面が安定しておらず、競馬どころでない状態であることがわかる。
「ゲートで潜ろうとして体勢が本当でなく、出遅れ気味になってしまった」
「ラストは弾けなかったね。馬場を気にした様子もなかったけど・・」という岩田のコメントがそれを物語っている。
期待された3歳勢では、マイネルスケルツィが最先着の4着。
マイネルスケルツィはよくやったと言えるだろう。
キンシャサノキセキは上滑りする馬場は不得手だが、それでも5着。
来年のマイル路線では、マイネルスケルツィよりこちらの方が期待できるだろう。
マルカシェンクはどうしたのだろうか。
マイルは合っているの思うが。
ちぐはぐになった臨戦過程の影響があるのかもしれない。
力を出し切れていない。
立て直しが必要だろう。
それでも、馬場は湿り、芝表面に水滴がつき上滑りしやすくなっていて、それが災いした馬もいたようだ。
だが、そんな条件などまったく関係ない程にダイワメジャーは強かった。
ゴール前でダンスインザムードに並びかけられても、またグイッとひと伸びたあたり、着差以上の強さだった。
「本当に強い競馬でしたね。動くのが早いと分かっていたけど、外から来たら反応して伸びてくれたし、大丈夫だと思いました」
「他馬は関係なく自分のペースで行こうと思っていた。道中の手応えが抜群で自信があった。ダンスインザムードが迫ったら、もうひと伸びしたからね。最後まで負ける気はしなかった」
このアンカツの言葉がその強さを如実に表しているだろう。
長くいい脚を使ったメジャーも凄いが、馬を信頼して早めにスパートさせたアンカツの度胸も素晴らしい。
「レース中は負けることは考えない。自分の競馬をして負けたら仕方ないんだ。他馬の出方を待って負けた時の方が悔しい」
1番人気に乗りながら、これだけ開き直れるのがアンカツの凄さである。
これが事あるごとに私が言ってきた“思い切りの良い騎乗”というものである。
当然のように、それは無闇に思い切り乗れば良いと言う訳でなく、その裏付けとなる確固たる自信と根拠がなければならないのだ。
それを明確に具現化したのが、今回のアンカツの騎乗である。
馬の力と特徴を把握することで生まれた自信に基づく早仕掛け。
とかく、経験の少ない騎手、下手な騎手、精神面が弱い騎手が1番人気の馬に騎乗すると、無難にミスなく、ソツなく乗ろうとする。
だが、それが消極性にとなり、結果的にその馬の力を十分に発揮できないということに繋がるのだ。
ダイワメジャー程の強さがある馬でも、無難に乗ってごく普通の当たり前と言われるようなタイミングで仕掛けていたら、切れ味で勝るダンスインザムードの末脚の前に屈していたかもしれない。
トップジョッキーほどこの“思い切りの良い騎乗”が出来る。
経験に基づく自信があるからこそ、それが出来るのであろう。
逆にソツなく乗ることしかできない騎手は、トップジョッキーになり得ない。
また“思い切りの良い騎乗”は、“慌てた騎乗”あるいは“無謀な騎乗”とは違う。
その事は先日のエリザベス女王杯での本田の騎乗がその例だ。
あれは、“思い切りの良い騎乗”とは程遠いもので、慌ててその結果無謀な騎乗に繋がってしまった典型的な例だ。
その原因は、本田があの時点でパートナーの力と特徴を十分に把握出来ていなかったために、パートナーの力を信頼できなかったことが挙げられる。
本田は、あの慌てふためいたようにムチを連打し、内に切れ込んだ騎乗をした要因として、
「いつもより手応えがよくなかった。前の馬が内にヨレそうだったので、早めに内に入れたかった」
とコメントしたが、あのカワカミプリンセスの別次元の強さを見れば、その判断が間違っていたのは明白である。
カワカミプリンセスの力と特徴をきとんと把握できていれば、もっと余裕を持った騎乗ができたはずだ。
つまり、本田はカワカミプリンセスのその特徴と強さを把握できていなかったのだ。
カワカミプリンセスがペースの上がる4コーナーでもたつくのは秋華賞でも見受けられたこと。
また、本田はこの秋取材を受ける度に、カワカミプリンセスのことを聞かれると、
「自分の思っている以上の強さを秘めている。毎回毎回それに驚かされる」と語っていた。
カワカミプリンセスがそれだけ凄い馬と言ってしまえば、それまでだが、ジョッキーの優劣は、レースでの騎乗だけでなく、その馬の力、特徴をいかに瞬時に把握できるかという部分にも現れる。
一流ジョッキーほど、初めて跨った馬でも、すぐにそれが分かるらしい。
騎乗技術だけでなく、そういった部分の優劣でもアンカツと本田の今の立場の違いとして出ているのだろう。
またしてもダイワメジャーの前に力及ばなかったダンスインザムードだが、ユタカはほぼ最高の騎乗をしたと言えるだろう。
欲を言えば、直線でダイワメジャーに馬体を併せるのではなく、なるべく離していたら、あるいは結果は違っていたかもしれないということだけだ。
ゴール前、並びかけたところで、ダンスインザムードの脚が止まったように見えたが、あれはそうではなく、ダンスインザムードが並びかけたので、ダイワメジャーの闘志に火がつき、また伸びたのだ。
ダイワメジャーは、力は断然に上だが、そのようなソラを使ってしまうところがあり、また瞬発力に欠けるという特徴があるだけに、ダイワメジャーに出し抜けを食らわすような進路をとるべきだっただろう。
シンボリグランはこれまで、気性面の難しさから短距離を使われ、またそのレースでも出遅れなどがあり、なかなかその力を発揮できずにいたが、精神面の成長によって、距離ももつようになったし、その力も十分に発揮できるようになった。
今後はマイル戦でも十分に通用するだろう。
逆に連覇を狙ったものの8着に敗れたハットトリックは、精神面が原因で不調に陥っているようだ。
スタート前にゲートを潜ろうとしたことからも、精神面が安定しておらず、競馬どころでない状態であることがわかる。
「ゲートで潜ろうとして体勢が本当でなく、出遅れ気味になってしまった」
「ラストは弾けなかったね。馬場を気にした様子もなかったけど・・」という岩田のコメントがそれを物語っている。
期待された3歳勢では、マイネルスケルツィが最先着の4着。
マイネルスケルツィはよくやったと言えるだろう。
キンシャサノキセキは上滑りする馬場は不得手だが、それでも5着。
来年のマイル路線では、マイネルスケルツィよりこちらの方が期待できるだろう。
マルカシェンクはどうしたのだろうか。
マイルは合っているの思うが。
ちぐはぐになった臨戦過程の影響があるのかもしれない。
力を出し切れていない。
立て直しが必要だろう。
by masa_ishizawa
| 2006-11-20 20:35
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