2007年 05月 07日
“マイナー女王”と“泥んこプリンセス”の初対戦 名古屋・かきつばた記念 |
毎年、ゴールデンウィーク中に名古屋競馬場で開催される交流重賞・かきつばた記念。
今年のこのレースは、私にとって特別なものとなった。
と言うもの、このブログやメルマガの方で何度も取り上げるなど、私が力を入れて応援している2頭の牝馬が揃って出走し、初めて両馬の対戦が実現したからである。
そのうちの1頭は、これぞマイナーと呼べるほどの血統背景ながらそのハンデをまったく感じさせない素晴らしい実績から、私が“マイナー女王”という称号をつけたメイショウバトラーである。
そんな素晴らしい実績を持つメイショウバトラーであったが、今年で7歳となった年齢による衰えからか、あるいは故障からの復帰後ここまでほとんど休み無く走り続けてきた蓄積疲労のせいか、近走はこの馬本来の走りがまったく見られず、不振に喘いでいた。
勝ち星もこの馬が素晴らしい輝きを放っていた昨年の9月以来遠ざかっていた・・。
そして、もう1頭は、昨年の夏に道悪馬場を物ともせずに、いやむしろその泥んこの馬場を楽しんでいるかのような素晴らしい走りで連勝し、おまけに種付頭数に恵まれないマイナーな種牡馬である父カリスタグローリに念願の重賞初勝利をプレゼントしたサチノスイーティー。
このサチノスイーティーには、道悪レースでのその見事な駆けっぷりに因み、また将来性を感じさせる素質を見込んで“泥んこプリンセス”という称号をつけていていた。
サチノスイーティーは、そんな私の期待に見事に応えてくれ、古馬となった今年に飛躍的な成長を遂げ、さらに前走でも見事なレース内容で勝利を飾っており、メイショウバトラーとは対照的にまさに充実一途の中にいた。
このような2頭の牝馬が出走したこのレースは、輝かしい実績を誇る“女王”と成長著しい“プリンセス”とのまさに世代交代を賭けた決戦とも言えたのだった。
この一戦を前に、この2頭にはそれぞれ不安材料があった。
メイショウバトラーはとにかく体調面。
巻き返しを図ったここまでの調整ははたしてうまくいったのか。
7歳という既に繁殖に上がってもおかしくない年齢に達したこの馬に、まだ全盛期の力が残っているのか。
私はそんな懸念を抱いていた。
一方、充実一途のサチノスイーティーは、初めての地方競馬参戦となるため、ベストとは言い難い千四という距離だけでなく、砂深が約12cmもあり地方の競馬場の中でも特に深いとされる名古屋競馬場の独特の力の要る深いダートに対応できるかという点が鍵になるだろうと思っていた。
この馬は、今年に入りダート戦を2戦してともに好走し、ダートへの高い適性を見せていたが、その2戦はそれぞれ不良、重馬場となったことで脚抜きが良く、この馬のスピードを生かせる馬場だったので、はたして名古屋の力の要るダートで、しかも千四という距離で、軽快なスピードタイプであるこの馬の持ち味が十分に生かせるのだろうかと私は危惧していたのだった。
さらに、このレースでは両馬の前に1頭の強敵が立ちはだかっていた。
芝、ダートを問わず短距離戦で安定した走りを見せ、ダート重賞を5勝している“超良血馬”リミットレスビッドである。
この強敵を相手にマイナー種牡馬産駒を代表する2頭の牝馬が、いったいどんなレースを見せてくれるのだろうか。
私は僅かな不安とともに大きな期待も抱いていた・・。
レースの前日、一人の男がサチノスイーティーのもとを訪れていた。
この馬のオーナーの佐藤幸彦氏である。
彼は大切そうに一枚の写真を取り出すと、まるでこの愛馬に“何かの思いや力”を伝え込めるかのようにその写真を愛馬の額にそっと当て、何度も優しく撫でていた。
彼が肌身離さず大切に持ち歩いているというその写真には、先日他界した彼の愛妻の姿が写っていた。
先日この世を去った彼の妻はこの馬の名付け親でもあり、誰よりもこの馬を応援していた。
そんな彼女は、このサチノスイーティーという競走馬の最初のファンでもあったと言えるだろう。
彼女は病を患い入院生活を送るようになってからも、この馬が走るレースをいつも楽しみして、そしてこの馬を応援していたという。
きっと、「元気になっていつかまた競馬場でスイーティーの走る姿を見たい」と願っていたのだろう。
だが、その愛馬が素晴らしい勝利を飾った前走のレースを見届けることなく、彼女はついに帰らぬ人となってしまった・・。
サチノスイーティー陣営にとって大きな意味を持つ一戦となった前走はどうしても負けらないレースであったが、そのことは今回もまったく変わりはなかった・・。
レースの前日、決戦の舞台となる名古屋は不安定な天候となり朝から時折雨に見舞われていた。
その日、名古屋競馬場で行われたレースは「不良」で始まったが、それでも午後には「重」まで回復していた。
決戦を翌日に控え、この日の開催を「重」のまま終了したこの馬場が明日のレースまでにどの程度回復するのかということも決戦の勝敗を左右する鍵を握っていた。
そして、いよいよ決戦の当日、名古屋競馬場では朝から晴れ渡り、注目の馬場状態も第1レースから良馬場で行われていた。
それでも砂はまだ程良く締まっており、今回のメンバーの中ではダントツとも言えるそのスピードを武器とするサチノスイーティーにとっては好都合な馬場状態となっていた。
この大一番を前に多くの競馬ファンは、放牧明けのリミットレスビッドを支持していた。
その支持は単勝1.4倍という断然の1番人気であった。
それにメイショウバトラーが5.1倍の2番人気、サチノスイーティーが5.9倍の3番人気と続いていたが、そのオッズが示す通り、両馬はあくまで連下候補の伏兵に過ぎなかった。
大方の予想は、リミットレスビッドが断然有利というものだったのだ・・。
(続く・・)
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今年のこのレースは、私にとって特別なものとなった。
と言うもの、このブログやメルマガの方で何度も取り上げるなど、私が力を入れて応援している2頭の牝馬が揃って出走し、初めて両馬の対戦が実現したからである。
そのうちの1頭は、これぞマイナーと呼べるほどの血統背景ながらそのハンデをまったく感じさせない素晴らしい実績から、私が“マイナー女王”という称号をつけたメイショウバトラーである。
そんな素晴らしい実績を持つメイショウバトラーであったが、今年で7歳となった年齢による衰えからか、あるいは故障からの復帰後ここまでほとんど休み無く走り続けてきた蓄積疲労のせいか、近走はこの馬本来の走りがまったく見られず、不振に喘いでいた。
勝ち星もこの馬が素晴らしい輝きを放っていた昨年の9月以来遠ざかっていた・・。
そして、もう1頭は、昨年の夏に道悪馬場を物ともせずに、いやむしろその泥んこの馬場を楽しんでいるかのような素晴らしい走りで連勝し、おまけに種付頭数に恵まれないマイナーな種牡馬である父カリスタグローリに念願の重賞初勝利をプレゼントしたサチノスイーティー。
このサチノスイーティーには、道悪レースでのその見事な駆けっぷりに因み、また将来性を感じさせる素質を見込んで“泥んこプリンセス”という称号をつけていていた。
サチノスイーティーは、そんな私の期待に見事に応えてくれ、古馬となった今年に飛躍的な成長を遂げ、さらに前走でも見事なレース内容で勝利を飾っており、メイショウバトラーとは対照的にまさに充実一途の中にいた。
このような2頭の牝馬が出走したこのレースは、輝かしい実績を誇る“女王”と成長著しい“プリンセス”とのまさに世代交代を賭けた決戦とも言えたのだった。
この一戦を前に、この2頭にはそれぞれ不安材料があった。
メイショウバトラーはとにかく体調面。
巻き返しを図ったここまでの調整ははたしてうまくいったのか。
7歳という既に繁殖に上がってもおかしくない年齢に達したこの馬に、まだ全盛期の力が残っているのか。
私はそんな懸念を抱いていた。
一方、充実一途のサチノスイーティーは、初めての地方競馬参戦となるため、ベストとは言い難い千四という距離だけでなく、砂深が約12cmもあり地方の競馬場の中でも特に深いとされる名古屋競馬場の独特の力の要る深いダートに対応できるかという点が鍵になるだろうと思っていた。
この馬は、今年に入りダート戦を2戦してともに好走し、ダートへの高い適性を見せていたが、その2戦はそれぞれ不良、重馬場となったことで脚抜きが良く、この馬のスピードを生かせる馬場だったので、はたして名古屋の力の要るダートで、しかも千四という距離で、軽快なスピードタイプであるこの馬の持ち味が十分に生かせるのだろうかと私は危惧していたのだった。
さらに、このレースでは両馬の前に1頭の強敵が立ちはだかっていた。
芝、ダートを問わず短距離戦で安定した走りを見せ、ダート重賞を5勝している“超良血馬”リミットレスビッドである。
この強敵を相手にマイナー種牡馬産駒を代表する2頭の牝馬が、いったいどんなレースを見せてくれるのだろうか。
私は僅かな不安とともに大きな期待も抱いていた・・。
レースの前日、一人の男がサチノスイーティーのもとを訪れていた。
この馬のオーナーの佐藤幸彦氏である。
彼は大切そうに一枚の写真を取り出すと、まるでこの愛馬に“何かの思いや力”を伝え込めるかのようにその写真を愛馬の額にそっと当て、何度も優しく撫でていた。
彼が肌身離さず大切に持ち歩いているというその写真には、先日他界した彼の愛妻の姿が写っていた。
先日この世を去った彼の妻はこの馬の名付け親でもあり、誰よりもこの馬を応援していた。
そんな彼女は、このサチノスイーティーという競走馬の最初のファンでもあったと言えるだろう。
彼女は病を患い入院生活を送るようになってからも、この馬が走るレースをいつも楽しみして、そしてこの馬を応援していたという。
きっと、「元気になっていつかまた競馬場でスイーティーの走る姿を見たい」と願っていたのだろう。
だが、その愛馬が素晴らしい勝利を飾った前走のレースを見届けることなく、彼女はついに帰らぬ人となってしまった・・。
サチノスイーティー陣営にとって大きな意味を持つ一戦となった前走はどうしても負けらないレースであったが、そのことは今回もまったく変わりはなかった・・。
レースの前日、決戦の舞台となる名古屋は不安定な天候となり朝から時折雨に見舞われていた。
その日、名古屋競馬場で行われたレースは「不良」で始まったが、それでも午後には「重」まで回復していた。
決戦を翌日に控え、この日の開催を「重」のまま終了したこの馬場が明日のレースまでにどの程度回復するのかということも決戦の勝敗を左右する鍵を握っていた。
そして、いよいよ決戦の当日、名古屋競馬場では朝から晴れ渡り、注目の馬場状態も第1レースから良馬場で行われていた。
それでも砂はまだ程良く締まっており、今回のメンバーの中ではダントツとも言えるそのスピードを武器とするサチノスイーティーにとっては好都合な馬場状態となっていた。
この大一番を前に多くの競馬ファンは、放牧明けのリミットレスビッドを支持していた。
その支持は単勝1.4倍という断然の1番人気であった。
それにメイショウバトラーが5.1倍の2番人気、サチノスイーティーが5.9倍の3番人気と続いていたが、そのオッズが示す通り、両馬はあくまで連下候補の伏兵に過ぎなかった。
大方の予想は、リミットレスビッドが断然有利というものだったのだ・・。
(続く・・)
この続きは、メルマガ版の方に掲載しますので、よかったら読んでみて下さい。
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by masa_ishizawa
| 2007-05-07 20:37
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