2006年 07月 17日
アイビスSD レース回顧 ~サチノスイーティー重賞初制覇~ |
アイビスSD レース回顧 ~サチノスイーティー重賞初制覇~
今年のアイビスSD、レース前に突然降り出した土砂降りの雨が大きく明暗を分けた。
降雨によって発表が良馬場ながら、時計の掛かる力の要る馬場になったことで、道悪の巧拙だけでなく、斤量差、枠順も良馬場以上に大きく響いた結果となった。
勝ったサチノスイーティーは、デビュー戦で13番人気ながら4着に入って以来、私は彼女に注目してメルマガの方でも何度も取り上げ応援してきた馬だけに、この重賞勝利の喜びも一入だ。
これがカリスタグローリ産駒の重賞初制覇であり、また彼女の良きパートナー鈴来騎手もうれしい重賞初制覇となった。
その鈴来騎手のコメント「枠順もよかったし、馬場もよかった。良発表でもかなり水分を含んでいましたから。馬も成長していたし、全部がうまく行きました」
また管理する平井雄二調教師は、昭和62年に皐月賞、菊花賞の牡馬2冠を制したサクラスターオー以来19年ぶりの重賞勝ちとなった。
その平井師のコメント「ウチのは問題なかったけど、他の馬に不利はあったでしょう。時計が速くなるとどうかと思ったが、昨日の1000万下(55秒4)より遅かったから。」
サチノスイーティーの母ペルファヴォーレ、祖母コンアモールは私のメルマガの中でもすっかりお馴染みのサンシャイン牧場の生産馬。
祖祖母ブロケードは伊達秀和さんの持ち馬で、桜花賞(81年)とスプリンターズS(82年)を制し、また安田記念でも2度も2着に入った名牝。
サチノスイーティーの母系はサンシャイン牧場ゆかりの血統と言ってもいいだろう。
伊達さんもこのサチノスイーティーの活躍を喜んでいるのではないかと思う。
母、祖母は勝利を飾ることなく引退したが、それでもブロケードの良さは代々眠るように引き継がれ、それがサチノスイーティーで目覚めたようでもある。
血統は父系を見るのもおもしろいが、母系もまたおもしろい。
気の早い私は、サチノスイーティーにはどの種牡馬を付け、どんな仔が産まれるのだろうなどと今から考えてしまうのである。
サチノスイーティーはカリスタグローリの良さとブロケードから繋がる母系の良さの両方がうまく出ているのだと思う。
そのカリスタグローリは、故障で早くに引退したこともあり、種牡馬としてのスタートは決して恵まれてはいなったが、初年度産駒のうち3頭中2頭が、2年目の産駒も4頭中3頭が中央で勝ち上がるという奇跡的とも言える程の驚異の勝ち上がり率を残したことが評価され、その後はコンスタントに30頭以上に種付けできる種牡馬となった。
まさに自らの力で道を切り開き、種牡馬として何とか生き残ってきたと言えるだろう。
競争が激しい中、種牡馬として長年生き残っているカリスタグローリの凄さは、近親のウイニングチケットがダービー馬でありながら15歳という若さで種牡馬を廃用となったことからも分かる。
しかし、そんなカリスタグローリもさすがに近年の種付け頭数は2004年27頭、2005年16頭と減ってきている。
また、今年から供用先がアロースタッドからマイナーなフジモトバイアリースタッドへ移動したので、私は今年のカリスタグローリの種付け頭数が気がかりだったが、このサチノスイーティーの活躍で来年はまた種付け頭数が増え、まだ種牡馬として生き残れそうになったことを嬉しく思っている。
レースでは、他馬が道悪にもがき苦しむ中、サチノスイーティー1頭だけ気持ちよさそうに走り抜け、終わってみれば直千レースでは稀な3馬身差もつける完勝。
レース前に突然降り出した土砂降りの雨が、彼女に大きく味方した。
彼女は道悪も苦にしないし、斤量差もより一層活きた。
また持ち時計の劣る彼女にとって、パンパンの良馬場でのスピード比べでは分が悪い。
勝ちタイムは例年より2秒近く遅いものだった。
まさに彼女にとっては、幸運の雨であり、天が彼女に味方したようだった。
私には、その雨がいつも一生懸命頑張って走っている彼女への“勝利の女神”あるいは“競馬の神様”からのご褒美のようにも思えた。
レース後にはその土砂降りの雨もぴたりと止んでいた…。
それにしても彼女には、前走、今回といい意味で期待を裏切られている。
私は戦前、さすがにこのメンバーではスピードに劣ると思っていたが、期待以上の走りをしてくれた。
彼女の成績はこの勝利で10戦4勝となったが、1番人気に支持されたのは2走目の未勝利戦だけというのも彼女の特徴を表わす実におもしろいデータだ。
前走を勝った際メルマガの方で、私は彼女を“いい馬”と称賛したが、今回は“すごい馬”と称賛したい。
私の期待以上に彼女は強くなってくれているようだ。
4月に500万下を勝った後、無理をさせずにすぐに放牧に出した陣営の判断が功を奏し、肉体的にも精神的にも一回りも二回りも成長してくれたようだ。
パドックでも以前はチャカついた面を見せていたが、今回のレースでは非常に落ち着いていたようだった。
彼女は人間で例えるとちょうど二十歳前くらいで少女から大人の女に成長する頃だろうか。
人間もこのくらいの年頃の女性は、少しの期間見ないうちに驚くほどに大きく変わる。
今回のサチノスイーティーの急成長もちょうど夏休みを挟んで、その休みが終わった後に会ったら見違えるように変わった子がいたという学生時代にありがちな経験を思い出させた。
2歳のデビューから彼女を応援してきて、まさか重賞を勝ってくれるとは夢にも思わなかった。
次走はキーランドC(8月27日、札幌、G3、芝1200M)を予定しているそうだが、彼女をただ褒めちぎるだけでなく冷静にまた敢えて厳しい父親のような目で見ると、今後の課題は斤量増と良馬場のスピード決着に対応できるだけのスピードだろう。
出走メンバーも今回より強化されることが予想される。
しかし、毎回私の期待以上の走りをしてくれる彼女ならそんな課題も見事に乗り越えてくれるかもしれない。
これから彼女がどこまで成長してくれのかとても楽しみである。
最後に、サチノスイーティーと彼女に関わる全ての人たちに“おめでとう”と言いたい。
今年のアイビスSD、レース前に突然降り出した土砂降りの雨が大きく明暗を分けた。
降雨によって発表が良馬場ながら、時計の掛かる力の要る馬場になったことで、道悪の巧拙だけでなく、斤量差、枠順も良馬場以上に大きく響いた結果となった。
勝ったサチノスイーティーは、デビュー戦で13番人気ながら4着に入って以来、私は彼女に注目してメルマガの方でも何度も取り上げ応援してきた馬だけに、この重賞勝利の喜びも一入だ。
これがカリスタグローリ産駒の重賞初制覇であり、また彼女の良きパートナー鈴来騎手もうれしい重賞初制覇となった。
その鈴来騎手のコメント「枠順もよかったし、馬場もよかった。良発表でもかなり水分を含んでいましたから。馬も成長していたし、全部がうまく行きました」
また管理する平井雄二調教師は、昭和62年に皐月賞、菊花賞の牡馬2冠を制したサクラスターオー以来19年ぶりの重賞勝ちとなった。
その平井師のコメント「ウチのは問題なかったけど、他の馬に不利はあったでしょう。時計が速くなるとどうかと思ったが、昨日の1000万下(55秒4)より遅かったから。」
サチノスイーティーの母ペルファヴォーレ、祖母コンアモールは私のメルマガの中でもすっかりお馴染みのサンシャイン牧場の生産馬。
祖祖母ブロケードは伊達秀和さんの持ち馬で、桜花賞(81年)とスプリンターズS(82年)を制し、また安田記念でも2度も2着に入った名牝。
サチノスイーティーの母系はサンシャイン牧場ゆかりの血統と言ってもいいだろう。
伊達さんもこのサチノスイーティーの活躍を喜んでいるのではないかと思う。
母、祖母は勝利を飾ることなく引退したが、それでもブロケードの良さは代々眠るように引き継がれ、それがサチノスイーティーで目覚めたようでもある。
血統は父系を見るのもおもしろいが、母系もまたおもしろい。
気の早い私は、サチノスイーティーにはどの種牡馬を付け、どんな仔が産まれるのだろうなどと今から考えてしまうのである。
サチノスイーティーはカリスタグローリの良さとブロケードから繋がる母系の良さの両方がうまく出ているのだと思う。
そのカリスタグローリは、故障で早くに引退したこともあり、種牡馬としてのスタートは決して恵まれてはいなったが、初年度産駒のうち3頭中2頭が、2年目の産駒も4頭中3頭が中央で勝ち上がるという奇跡的とも言える程の驚異の勝ち上がり率を残したことが評価され、その後はコンスタントに30頭以上に種付けできる種牡馬となった。
まさに自らの力で道を切り開き、種牡馬として何とか生き残ってきたと言えるだろう。
競争が激しい中、種牡馬として長年生き残っているカリスタグローリの凄さは、近親のウイニングチケットがダービー馬でありながら15歳という若さで種牡馬を廃用となったことからも分かる。
しかし、そんなカリスタグローリもさすがに近年の種付け頭数は2004年27頭、2005年16頭と減ってきている。
また、今年から供用先がアロースタッドからマイナーなフジモトバイアリースタッドへ移動したので、私は今年のカリスタグローリの種付け頭数が気がかりだったが、このサチノスイーティーの活躍で来年はまた種付け頭数が増え、まだ種牡馬として生き残れそうになったことを嬉しく思っている。
レースでは、他馬が道悪にもがき苦しむ中、サチノスイーティー1頭だけ気持ちよさそうに走り抜け、終わってみれば直千レースでは稀な3馬身差もつける完勝。
レース前に突然降り出した土砂降りの雨が、彼女に大きく味方した。
彼女は道悪も苦にしないし、斤量差もより一層活きた。
また持ち時計の劣る彼女にとって、パンパンの良馬場でのスピード比べでは分が悪い。
勝ちタイムは例年より2秒近く遅いものだった。
まさに彼女にとっては、幸運の雨であり、天が彼女に味方したようだった。
私には、その雨がいつも一生懸命頑張って走っている彼女への“勝利の女神”あるいは“競馬の神様”からのご褒美のようにも思えた。
レース後にはその土砂降りの雨もぴたりと止んでいた…。
それにしても彼女には、前走、今回といい意味で期待を裏切られている。
私は戦前、さすがにこのメンバーではスピードに劣ると思っていたが、期待以上の走りをしてくれた。
彼女の成績はこの勝利で10戦4勝となったが、1番人気に支持されたのは2走目の未勝利戦だけというのも彼女の特徴を表わす実におもしろいデータだ。
前走を勝った際メルマガの方で、私は彼女を“いい馬”と称賛したが、今回は“すごい馬”と称賛したい。
私の期待以上に彼女は強くなってくれているようだ。
4月に500万下を勝った後、無理をさせずにすぐに放牧に出した陣営の判断が功を奏し、肉体的にも精神的にも一回りも二回りも成長してくれたようだ。
パドックでも以前はチャカついた面を見せていたが、今回のレースでは非常に落ち着いていたようだった。
彼女は人間で例えるとちょうど二十歳前くらいで少女から大人の女に成長する頃だろうか。
人間もこのくらいの年頃の女性は、少しの期間見ないうちに驚くほどに大きく変わる。
今回のサチノスイーティーの急成長もちょうど夏休みを挟んで、その休みが終わった後に会ったら見違えるように変わった子がいたという学生時代にありがちな経験を思い出させた。
2歳のデビューから彼女を応援してきて、まさか重賞を勝ってくれるとは夢にも思わなかった。
次走はキーランドC(8月27日、札幌、G3、芝1200M)を予定しているそうだが、彼女をただ褒めちぎるだけでなく冷静にまた敢えて厳しい父親のような目で見ると、今後の課題は斤量増と良馬場のスピード決着に対応できるだけのスピードだろう。
出走メンバーも今回より強化されることが予想される。
しかし、毎回私の期待以上の走りをしてくれる彼女ならそんな課題も見事に乗り越えてくれるかもしれない。
これから彼女がどこまで成長してくれのかとても楽しみである。
最後に、サチノスイーティーと彼女に関わる全ての人たちに“おめでとう”と言いたい。
by masa_ishizawa
| 2006-07-17 18:13
| コラム