2006年 07月 16日
マイナー血統に感じるロマン ~メイショウバトラーの復活劇~ |
先週のプロキオンSで、屈腱炎のため約1年半休養していたメイショウホムラ産駒のメイショウバトラーが、約2年半ぶりとなる復活勝利を飾りましたが、その勝利を祝してその思いをコラムとして、先日発行したメルマガの方に書き綴りました。
それをブログ版の方にも掲載します。
マイナー血統に感じるロマン ~メイショウバトラーの復活劇~
“マイナー女王”メイショウバトラーが見事に復活してくれた。
約2年半ぶりの勝利。
前走が1年半ぶりの復帰戦だった。
競争馬にとって不治の病と言われる屈腱炎を発症してしまい休養していたのだ。
この復活劇は単なる復活劇ではない。
なぜなら、不治の病を克服したその復活も奇跡的なものなら、その復活劇を演じたメイショウバトラー自身も奇跡的な馬だからだ。
メイショウバトラーの血統は、マイナー中のマイナーと言ってもいいほどのものである。
父メイショウホムラは現役時代わずか重賞1勝の実績を残しただけで、その成績は普通ならとても種牡馬にはなれないものである。
だが、この馬のオーナーである松本氏の熱意によってメイショウホムラは種牡馬となることができたのだ。
それでも当然のように肌馬は集まらず、種付け相手のほとんどは松本氏の所有牝馬。
なんとか種付けることができた数少ないメイショウホムラの産駒のうち中央で勝ち上がった馬はわずかに5頭のみ。
その中の1頭がメイショウバトラーである。
メイショウバトラーの母メイショウハゴロモも当然のように松本氏の所有馬で、中央で3勝した馬だ。
さらにメイショウバトラーの祖母メイショウエンゼルも松本氏の所有馬で、こちらは中央で2勝した。
この松本氏の執念とも言える自分の馬や競馬に対する情熱に熱いロマンを感じる。
そのメイショウハゴロモの父は、ダイナガリバー。
ダイナガリバーはダービー馬ではあるが、期待されたほど活躍馬を輩出できず、既に種牡馬を廃用となっている。
確率的に考えると、この配合からメイショウバトラーのように重賞を2回も勝つような馬が生まれる確率はかなり低いだろう。
しかし、サラブレッドの配合は確率や経験、配合理論などに基づく予測を超越してしまうところに魅力がある。
マイナー血統から突如としてとんでもない大物が出ることもある。
私はそんなところに血統のおもしろさを感じ、競馬にロマンを感じるのだ。
メイショウバトラーの両親と祖母も彼女と同じく高橋成調教師に育てられた。
まさに高橋成調教師ゆかりの血統だ。
高橋成調教師はこのメイショウバトラー一族の他に、サンレイジャスパーなどマイナー血統の馬を数多く育て上げている。
マイナー血統馬ファンにとっては実に心強く、頼もしい調教師の一人だ。
しかし、この高橋成調教師はこれでもかと言わんばかりにレースを多く使うタイプの調教師だ。
メイショウバトラーもそれが原因で屈腱炎を発症したと言えるだろう。
だが、マイナー血統馬を取り巻く環境を考えると、これも仕方のないことなのかもしれない。
競馬にはビジネスという側面があり、関係者にとってはそれぞれの生活もかかっている。
マイナー血統馬や下級条件馬が数多くレースを使われるのは、ある意味当然なのかもしれない。
稼げるときに、稼いでおかなければならないのだろう。
ときには、人間の思惑や事情によって結果的に競争馬が故障してしまう場合もあるが、それもまた競馬なのだ。
また、そんなサラブレッドのはかなさに私はロマンを感じる。
メイショウバトラーのようなマイナー血統の馬が数多く活躍してくれると、競馬はもっと盛り上がると思う。
ここ数年は、サンデーサイレンス産駒が2代目だけでなく3代目も活躍しており、
その猛威は留まるところを知らないどころか、その血統の枝葉をさらに大きく広げている。
サンデー系限定レースがいくつも開催できそうな頭数だ。
さらに父内国産馬限定重賞までもサンデーの孫たちに独占され、その姿がサンデー系父内国産馬限定重賞となってしまいそうな勢いでもある。
実際、唯一の父内国産馬限定重賞となってしまった昨年の中日新聞杯では16頭中7頭が、サンデーの孫だった。
サンデーの父系の拡大に加え、サンデーの血が母系に入っている馬も当然のように増えてきた。
活躍する馬がどれもこれもサンデーの血が入っている馬ばかりでは、競馬はおもしろくなくなる。
特に、周りに流されるのが嫌で多数派が嫌いな私にとっては、このサンデーの血に偏重した日本競馬の状況下では、
どうしても少数派や個性派に目が行き、また応援したくなるのだ。
だから社台グループやその生産馬を買いあさる者達だけの天下が続いては、あまりにおもしろくないのだ。
“マイナー女王”メイショウバトラーにはそういった良血エリート馬たちを次々と撃破していってもらいたい。
またこれからはダート路線を歩み、“マイナー女王”から“砂の女王”になってもらいたい。
彼女にはその私の願いを可能にするだけの能力があると思う。
しかし、屈腱炎といういつ爆発してもおかしくない競争馬にとっての恐ろしい爆弾を脚元に抱えている彼女にとって、
これから出走する一戦一戦が現役生活を賭けたレースになる。
だから私はこれから彼女が出走してくれる貴重なレースの一戦一戦を脳裏に焼き付けておこうと思う。
そう、今後の彼女のレースは、その一戦一戦が引退までの残り少ないカウントダウンとなると同時に、常にそのレースが現役最後のレースとなるかもしれないのだ。
そんな境遇の馬が、サンデーの血を引くエリート集団を次々となぎ倒してくれたら何と爽快で感動的ではないか。
私はそんなところに競馬の魅力とロマンを求めている。
競馬には、数多くの魅力がある。
同じ公営ギャンブルでも競輪や競艇などには無い魅力がある。
なぜなら人間でも機械でもなく馬が競馬というドラマの主役だからだ。
競馬場や牧場など競争馬を取り巻くあらゆる場所で多くのドラマが日々生まれる。
そしてさらにサラブレッドの美しさ、華麗さ、はかなさ、また人間の考えでは測れない部分やそれを超越した部分、そういったものが競馬を魅力的にする。
だから多くの人々が熱狂する。
競馬は単なるギャンブルではなく、そこにはロマンが溢れているのだ。
私はそんな魅力に溢れた競馬をこれからも愛し続けていくだろう。
そして、これからも数少ないマイナー血統馬を今以上に応援し続けていくだろう。
メルマガ版では毎週、マイナー種牡馬の産駒のレース結果と
マイナー種牡馬を1頭ピックアップして特集する他、
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マイナー血統に感じるロマン ~メイショウバトラーの復活劇~
“マイナー女王”メイショウバトラーが見事に復活してくれた。
約2年半ぶりの勝利。
前走が1年半ぶりの復帰戦だった。
競争馬にとって不治の病と言われる屈腱炎を発症してしまい休養していたのだ。
この復活劇は単なる復活劇ではない。
なぜなら、不治の病を克服したその復活も奇跡的なものなら、その復活劇を演じたメイショウバトラー自身も奇跡的な馬だからだ。
メイショウバトラーの血統は、マイナー中のマイナーと言ってもいいほどのものである。
父メイショウホムラは現役時代わずか重賞1勝の実績を残しただけで、その成績は普通ならとても種牡馬にはなれないものである。
だが、この馬のオーナーである松本氏の熱意によってメイショウホムラは種牡馬となることができたのだ。
それでも当然のように肌馬は集まらず、種付け相手のほとんどは松本氏の所有牝馬。
なんとか種付けることができた数少ないメイショウホムラの産駒のうち中央で勝ち上がった馬はわずかに5頭のみ。
その中の1頭がメイショウバトラーである。
メイショウバトラーの母メイショウハゴロモも当然のように松本氏の所有馬で、中央で3勝した馬だ。
さらにメイショウバトラーの祖母メイショウエンゼルも松本氏の所有馬で、こちらは中央で2勝した。
この松本氏の執念とも言える自分の馬や競馬に対する情熱に熱いロマンを感じる。
そのメイショウハゴロモの父は、ダイナガリバー。
ダイナガリバーはダービー馬ではあるが、期待されたほど活躍馬を輩出できず、既に種牡馬を廃用となっている。
確率的に考えると、この配合からメイショウバトラーのように重賞を2回も勝つような馬が生まれる確率はかなり低いだろう。
しかし、サラブレッドの配合は確率や経験、配合理論などに基づく予測を超越してしまうところに魅力がある。
マイナー血統から突如としてとんでもない大物が出ることもある。
私はそんなところに血統のおもしろさを感じ、競馬にロマンを感じるのだ。
メイショウバトラーの両親と祖母も彼女と同じく高橋成調教師に育てられた。
まさに高橋成調教師ゆかりの血統だ。
高橋成調教師はこのメイショウバトラー一族の他に、サンレイジャスパーなどマイナー血統の馬を数多く育て上げている。
マイナー血統馬ファンにとっては実に心強く、頼もしい調教師の一人だ。
しかし、この高橋成調教師はこれでもかと言わんばかりにレースを多く使うタイプの調教師だ。
メイショウバトラーもそれが原因で屈腱炎を発症したと言えるだろう。
だが、マイナー血統馬を取り巻く環境を考えると、これも仕方のないことなのかもしれない。
競馬にはビジネスという側面があり、関係者にとってはそれぞれの生活もかかっている。
マイナー血統馬や下級条件馬が数多くレースを使われるのは、ある意味当然なのかもしれない。
稼げるときに、稼いでおかなければならないのだろう。
ときには、人間の思惑や事情によって結果的に競争馬が故障してしまう場合もあるが、それもまた競馬なのだ。
また、そんなサラブレッドのはかなさに私はロマンを感じる。
メイショウバトラーのようなマイナー血統の馬が数多く活躍してくれると、競馬はもっと盛り上がると思う。
ここ数年は、サンデーサイレンス産駒が2代目だけでなく3代目も活躍しており、
その猛威は留まるところを知らないどころか、その血統の枝葉をさらに大きく広げている。
サンデー系限定レースがいくつも開催できそうな頭数だ。
さらに父内国産馬限定重賞までもサンデーの孫たちに独占され、その姿がサンデー系父内国産馬限定重賞となってしまいそうな勢いでもある。
実際、唯一の父内国産馬限定重賞となってしまった昨年の中日新聞杯では16頭中7頭が、サンデーの孫だった。
サンデーの父系の拡大に加え、サンデーの血が母系に入っている馬も当然のように増えてきた。
活躍する馬がどれもこれもサンデーの血が入っている馬ばかりでは、競馬はおもしろくなくなる。
特に、周りに流されるのが嫌で多数派が嫌いな私にとっては、このサンデーの血に偏重した日本競馬の状況下では、
どうしても少数派や個性派に目が行き、また応援したくなるのだ。
だから社台グループやその生産馬を買いあさる者達だけの天下が続いては、あまりにおもしろくないのだ。
“マイナー女王”メイショウバトラーにはそういった良血エリート馬たちを次々と撃破していってもらいたい。
またこれからはダート路線を歩み、“マイナー女王”から“砂の女王”になってもらいたい。
彼女にはその私の願いを可能にするだけの能力があると思う。
しかし、屈腱炎といういつ爆発してもおかしくない競争馬にとっての恐ろしい爆弾を脚元に抱えている彼女にとって、
これから出走する一戦一戦が現役生活を賭けたレースになる。
だから私はこれから彼女が出走してくれる貴重なレースの一戦一戦を脳裏に焼き付けておこうと思う。
そう、今後の彼女のレースは、その一戦一戦が引退までの残り少ないカウントダウンとなると同時に、常にそのレースが現役最後のレースとなるかもしれないのだ。
そんな境遇の馬が、サンデーの血を引くエリート集団を次々となぎ倒してくれたら何と爽快で感動的ではないか。
私はそんなところに競馬の魅力とロマンを求めている。
競馬には、数多くの魅力がある。
同じ公営ギャンブルでも競輪や競艇などには無い魅力がある。
なぜなら人間でも機械でもなく馬が競馬というドラマの主役だからだ。
競馬場や牧場など競争馬を取り巻くあらゆる場所で多くのドラマが日々生まれる。
そしてさらにサラブレッドの美しさ、華麗さ、はかなさ、また人間の考えでは測れない部分やそれを超越した部分、そういったものが競馬を魅力的にする。
だから多くの人々が熱狂する。
競馬は単なるギャンブルではなく、そこにはロマンが溢れているのだ。
私はそんな魅力に溢れた競馬をこれからも愛し続けていくだろう。
そして、これからも数少ないマイナー血統馬を今以上に応援し続けていくだろう。
メルマガ版では毎週、マイナー種牡馬の産駒のレース結果と
マイナー種牡馬を1頭ピックアップして特集する他、
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by masa_ishizawa
| 2006-07-16 12:19
| コラム